99号　2021年　秋号の詩

 エチケット

アルバイト先の男子トイレでチーフが
手を洗わずに出ようとしたので呼び止めたら

あぁ、おれのちんこキレイだから
手を洗っておしっこするからね
汚れた手で大事なちんこ触るの嫌だから
と言って出て行った

反論できずに見送った
なるほど、チーフがモテるのは
ちんこを大切にしているからなのか

ボクは、ちんこは汚いからと
汚れた手で触っても気にならない
だからモテないんだ

鏡に映る自分を見て考える
そうだよな、ちんこは時々別人になる
親しき中にもエチケットなのか

エチケット？
ちんこの温もりがついた手で
接客するのがエチケットでいいのか？
それでエッチゲットでいいのか？

しばらくしてそのアルバイトをやめた

 ポジティブなネガティブ思考

予想通り
悪い結果になっても
ネガティブに捉えちゃだめだよ

ネガティブな予想が
当たったんだからね
すごい事だって
ポジティブ捉えるべきだよ

 999-333=666

999の純度の人は
333の光を失うと
666に暗転する

999の純度の人が
敵に寝返ると
666の悪魔になる

999の純度の人に
異物が混じると
888と笑って諦めるか
777に賭けようとする

 左曲がり

左曲がりだけで
目的地に着けるでしょうか？

右に進みたいなら
左を三回曲がって直進すればいい
なんとかなるものだ

何回曲がったのか
わからなくなりそうです

左に曲がり続けていれば
最初に曲がった場所に着く
そこから数え直せばいい
何度でもやり直せる

みんなから
遅れてしまいます

でも信念を曲げずに
目的地に着くことはできる
誉められないが感心する人はいる

 傘を作った動物

動物で傘を
作ったのは人間だけだ
傘は家屋となり自動車となり
宇宙船になった
問題を克服する基本は
傘なのだ

それなのに
忘れ物の傘が多い
存在を忘れるような発明こそ
偉大な発明なのだそうだが

 一人扱注意

あの人を
まぜるな危険

あの人に
まみれた偏見

あの人が
まぜるよ世間