| 84号 2018冬号の詩 | |
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| 1. | 人間温暖化 |
| 2. | 風邪の特効薬 |
| 3. | 明日に架ける恥 |
| 4. | トイレ・ドット・コム |
| 5. | ナゾの自動運転 |
| 6. | 愛してぬの方程式 |
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| 人間温暖化 |
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| 「ヒロシ暖かい」 「あぁ、バスが来るまで、こうしていようか」 「湯たんぽみたいって 湯たんぽをよく知らないから 電気ストーブみたい」 「あぁ、人間は生きているだけで 物理的には１００Ｗ分の熱を出している」 「へぇ、そうなんだ うちのトイレの電球１００Ｗだよ」 「あぁ、ひどい、トイレと同じかよ あのな、人間一人が１００Ｗっていうのは 地球にとって重大問題なんだ」 「なんの？」 「あのな、１９６０年には人口が３０億人だった それが、２０００年に６０億人を突破したんだ」 「知ってる」 「つまり４０年間に 地球が３０００億Ｗ熱くなっている」 「それ、よくわかんない」 「じゃぁ、電気ストーブで例えると １台１０００Ｗぐらいだから ４０年間に３億台の電気ストーブが 地球上置かれたことになる」 「へぇ、人間自体が地球を温暖化していたんだ」 「あぁ、そういうこと」 「恋をしなきゃ、人間は増えないのにね」 「あぁ、実は人間は、命懸けで恋をしているんだよ」 「へぇ、ステキ」 |
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| 風邪の特効薬 |
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| 「教授、医学の進歩の割りに 決定的な風邪の特効薬ができていませんよね 僕が開発して、ノーベル賞を目指したいのです」 「そうか、それは、やめたほうがいい 風邪がすぐ治ると、ズル休みができなくなる それでは、人々の役には立たない ノーベル賞は無理だ」 「教授、でも、大切な試験や取引などで 人の役に立てるじゃないですか？」 「君はその薬を人のためと思っているが 私には賞を取るためのものに聞こえる」 「教授、それじゃ 風邪をひく薬というのはどうでしょう これでならズル休みもできるし 大切な日の前にひいて直しておけばいい」 「君はすごいな そこまでして賞を取りたいのか？」 「教授、実はノーベル賞が取れる 特効薬を開発したんです あとは、テーマを選ぶだけなんです あんまり陳腐なテーマで受賞すると疑われるので」 「なっ、なんだと？」 「冗談ですよ、冗談、忘れてください」 「いや、覚えておこう」 |
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| 明日に架ける恥 |
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| 心配するな あなたは何もわかっていないと言う人は あなたに知らせていないだけだ 心配するな みんな何もわかっていないと言う人は みんなに説明できないだけだ 心配するな 自分にはわからないと言う人は 自分がやりたくないだけだ 心配するな わかっていないことがわかったら やってみてわかればいい それは明日に架ける恥だ |
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| トイレ・ドット・コム |
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| 飼い犬は トイレを躾されても 散歩先では自由だ 飼い犬は 公園のトイレが混み合うのを見て 人間は不自由だと思っている 人間は 言動を躾されても インターネットに 匿名で落書きをする 飼い犬は 人間がスマホに足を止める度 鎖に繋がれているのは どっちなんだろうと思っている |
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| ナゾの自動運転 |
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| 現代社会では 厳しい品質が求められており 不具合のあるクルマは めったに走らない さらに 自動運転が求められており それをドライバーが 恥ずかしいと思わない ナゾだ 仕事をしないで どれだけ給料をもらえるのか コストパフォーマンスの時代 だからどれだけ運転しないで 移動できるかを考えているのか ナゾだ 昔のクルマは不具合があると まともに走らなかった 今はドライバーの不具合で まともに走っていない 国家資格の運転免許が国民を脅かす ナゾだ 不具合の無いクルマが 不具合品となるのを防ぐ だから自動運転なのか ナゾだ |
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| 愛してぬの方程式 |
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| 職場の廊下に ゴミが落ちていた 素通りしたとき 職場を愛していない 自分に気がついた 愛していないのに 業績は認めて欲しい 業績を認めないから愛せない 愛してぬの方程式 仕事のせいだと不規則に 好きなものだけ食べてきた 健康診断で医師に呼び出され 自分の細胞を愛していない 自分に気がついた 愛していないのに 細胞には愛されたい 細胞を維持するには仕方ない 愛してぬの方程式 テレビを見て 地球汚染の現状に頷いた後 次のコマーシャルで 物欲をかき立てられたとき 地球を愛していない 自分に気がついた 愛していないのに 失うことを恐れている 失うはずがないから愛さない 愛してぬの方程式 |
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