| 87号 2018秋号の詩 | |
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| 1. | 甘い温度 |
| 2. | 情熱１００ワット |
| 3. | ペンギンの翼 |
| 4. | 弱いものみじめ |
| 5. | 危機管理能力 |
| 6. | 感電社会 |
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| 甘い温度 |
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| 甘い物は冷やすと美味しい しょっぱい物は暖めると美味しい 甘い出来事は 心が凍らない温度が望ましい しょっぱい出来事は 心が火傷しない温度が望ましい だけど自分との温度差が ないと味気ないし あり過ぎると痛い 適温かどうか わからなかったものだけが 甘い思い出になる |
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| 情熱１００ワット |
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| いいかみんな この会議室に人がいるだけで 暖かくなるよね 人間は一人あたり 電気ストーブ１００ワット分の 熱を持っているんだ でも、どうだこの寒い空気は １００ワット分の情熱を 君たちは持っていないのか！ 課長、すいません 発熱量と情熱量は違うと思います それに１００ワットって電球１個で ストーブにしてもかなり寒いっすよ そうだな でも、ここには５人いる 電子レンジは５００ワットだ 何か、こうチンするものはないか？ 課長、すいません 電子レンジはマイクロ波で 発熱量とは違うと思います ただ、暖め直すだけでいいのなら こんな企画があります ん、なるほど 逆転の発想だけど 熱くならないな もしかして寒いのは 俺だけなのか？ |
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| ペンギンの翼 |
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| ペンギンの翼は空を飛べない だけど泳ぐことができる ボクは世間をうまく飛べない だけど泳ぐ水辺も見当たらない ペンギンは寒空に立ち続けているが 実は長い足を折り曲げて 体育座りして休んでいる ボクも社会に立ち続けているが 実は心を折り曲げて やりたい事を休んでいる ペンギンがいる所は涼し気で 夏になると話題になる ボクがいる所はブラックで 納得できないと話題になる ペンギンは空を諦めたから 墜落はしない ボクも出世競争を諦めたから 墜落はしない 泳ぐための翼でいい |
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| 弱いものみじめ |
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| 弱いものいじめ 弱いもの真面目 弱いものみじめ 強いもの意地ワル 強いもの意地張る 強いものイジケル 弱いもの堪える 弱いもの鍛える 弱いもの慕える |
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| 危機管理能力 |
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| 他人の家の匂いは気になるのに 自分の家の匂いは気にならない これは、常に漂っている自分の匂いを 脳がかき消しているからとのこと いつも周りにある匂いを消すことで 新たな匂いに敏感になれる 人間の危機管理能力らしい 他人の悪さは気になるのに 自分の悪さに気がつかない これも、常に繰り返す自分の失敗を 脳がかき消しているからなのかも いつも周りにある失敗を消すことで 他人の失敗に敏感になれる 人間の危機管理能力なのだろう お互いに危機管理しあうから うまくすれ違う 人間はすれ違うようにできている |
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| 感電社会 |
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| そもそも電気が無くても 人間は何千年と生きてきたのに 今では電気が無いと 一週間も生きられないとは変だ 生きるための労働が 電気を使うための労働に 変わってしまった 送電が停まったら テレビが見れない高齢者は 孤独死してしまう スマホが見れない若齢者も 孤独死してしまう 電気に命を握られた人間は 感電してビリビリしている |
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