82号 2017夏号の詩

  1. 金運末吉
  2. 運天免許
  3. くうねるまなぶ
  4. 電気蜘蛛
  5. この世に立ち向かうという病
  6. 夏の甲子園に帰省する
作:イオン
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金運末吉

神は人の上に人を作らず
金は人の上に人を作らす

人は神に賽銭をあげて
お金では買えない
願いを求めているのに
お金を多くあげるほど
叶うと思ってしまう

神は金の上に運を作らず


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運天免許

片側一車線
80キロ規制の高速有料道路で
90キロで走っているオートバイを
車間距離を詰めて
あおるミニバン

どけろって言ったって
側道をこの速度で走ったら転倒してしまう
ちょっとブレーキをかけて
スピードを落としたら
パッシングをして
邪魔だ死ねという
国家資格を持った殺人者

オートバイを運転する度に
死にそうになる
テロリストだらけの日本を走るには
天を味方につけた
運天免許が必要なんだ


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くうねるまなぶ

「人間の生理的欲求ねぇ
 食う寝る遊ぶって、よく言うけど
 ボクは、食う寝る学ぶだと思うね
 ゲームだって、愛や友情を学べるものが、楽しいしね」

「ワタシはさびしがりだから、食う寝る話すだけど
 話すって情報発信と収集だから学びだわね」

「オレはいつもポジティブだから、食う寝る挑むだぜ
 挑むには学ぶことも必要」

「アタシは食う寝る和むだけど
 コミュニケーションを学ばないと和めない」

「オイラは、学校では食べて寝てただけだ
 何も学んでいないぞ」

「そこで学ぶ必要がないことを学んだんだよ
 気にするな」

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電気蜘蛛

地上に張り巡らされている
電線は電気蜘蛛の糸で
地球はからめ取られている

電気蜘蛛に支配されているのに
人は電気を支配していると思っている

誰も発電所にいる蜘蛛を
退治できないのに


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この世に立ち向かうという病

この世は苦しい
この世は理不尽だ
この世は病人の集まりだ
そのことを理解するために
十代に勉強し
二十代に仕事を覚え
三十代に家族を持ち
四十代で社会を司る

そして五十代で病にかかる
心の病、体の病、お金の病
死ぬまで治らないであろう
この世に立ち向かうという病


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夏の甲子園に帰省する

様々な事情で帰省できないから
夏の高校野球甲子園に帰省する

テレビ画面から故郷が見えてくる
選手の名前に手に汗握る
僕もここで闘っている


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