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明日こそと 毎日かけて眠るのに 今日も鳴らない 自覚時計 |
「だから キミを愛するすべての方法の 特許をボクが取れば 他の人はキミを愛せないんだ」 「そうね ついでにアナタを愛する すべての方法も取ったらいいわ アナタ以外に アナタを愛せなくなるわ」 |
フェリー埠頭で海を見ていたら スマートフォンを片手に男女がつぶやいた 「ギターを持った渡り鳥かぁ おれも船旅の似合う男になりたいねー」 「わかるよ、あたしも そんな男を待つ女になりたいなー」 ボクはキミにメールを打つ 『スマートフォンがないと 会話が続かないみたい そんな二人が映画みたいに なれる訳がないよね』と ボクの片手にもスマートフォン もはや毎日の芝居にかかせない 台本なんだ |
子どもに 勉強しろと言わないほうが 勉強するなんて 子どもに 生きろと言わないほうが 死なないなんて 子どもという時代を やり過ごした大人に 解る訳はないと子どもは訴える 子どもという時代を 懸命に生きた大人でも 時代が違うと子どもは訴える 子どものままで 一緒にゲームする大人に 子どもが寄りついていく 少子化で 子どもが少ないなら 大人にならずに 子どものままでいればいい 当たり前になり死語になった 流行語オバタリアン 当たり前だから流行語にもならない コドモリアン |
「先生、美しくなって自信を持ちたいんです でも、顔を整形するのは、嫌なんです」 「そうですか 顔の整形は結果的に、心の整形をしている訳です 当院では、顔の整形をせずに心の整形をする方法があります 患者さんが自分で自分を変えていける ブチ整形を指導しています」 「ブチって、プチ整形じゃないんですか？」 「はいブチです まず一週間、鼻の真下にチョビ髭のように 救急絆創膏を貼って過ごして頂きます」 「そっ、それでブチ？ ちょっと恥ずかしいですよね あぁ、でもマスクで隠せばいいですよね」 「マスクは、あえてしないでください 大丈夫ですよ、意外にも絆創膏の理由を 聞かない人が多いんです それを知るために、あえてマスクはしないのです」 「先生、どうしたのって聞かれたら？」 「まぁ、ちょっとと濁してください 回りがざわついてより効果的です そして一週間後に、右頬にも貼ります」 「えぇ？ 右頬にも？」 「はい、更に一週間後、左頬にも貼ります 周りが更にざわつきますが、我慢です」 「そ、そんなぁ不細工、耐えられないかも」 「そうですね。でも、耐えられないほどの 酷い顔になることが目的ですから」 「えっ、意味がよく解りませんが」 「まぁ、続けましょう そして一週間後、鼻の下から順に 三日間ずつ空けて絆創膏を剥がします 治ったの？ と聞かれたら 吹き出物だったと言ってください」 「先生、それでどうなるんですか？」 「一ヶ月間の酷い絆創膏の顔から比べれば 美しくなる訳です」 「まぁねぇ、元に戻るだけでしょうけど」 「いや、元には戻りませんよ、世界が変わります 気にしていた部分をプチ整形したようなカタルシス つまり心の浄化作用が得られる事があります」 「得られる事って 絶対ではないということですか？」 「はい、プチ整形と同じで、効果には個人差があります 中には、心の整形ではなく、心が変形してしまい 羞恥心を忘れてしまう人もいますので」 |
夕暮れ迫る広島の路面電車で ホームレスの有名人、広島太郎に遭遇した 少し混みあう車内に乗り込んで来た彼は 青いビニールシートをマントに羽織り 汚れたヌイグルミを首から十数個ぶら下げ 腕時計を何個も着けた腕には黒い垢が浮いており 変な異臭を放っていた 広島太郎は自転車に乗るホームレスのはずで 雨でもないのに路面電車に乗るのは変だ それに彼は市民に、愛されていると聞いていたが 目の前の現実は、誰もが彼を無視している 確かに混みあう車内で、その格好は迷惑だ 愛してくれる人々に、迷惑をかけるのは変だ だったら、目の前の広島太郎は 何をしているのだろうか 世間を気にしない人を、世間は気にしないと 訴えたいのだろうか 裸で街を歩いたら捕まるが、汚れて臭う服でも 着込んでいれば捕まらないという矛盾を 訴えたいのだろうか 広島太郎は乗車三つ目の八丁堀手前で 運転席側に動き出した 八丁堀は彼のホームグランドだと聞いていた 自動ドアのように誰もが綺麗に道を開けていく そうか、ホームグランド着いた瞬間から 彼は愛されると見るべきで これから、反骨のホームレスの打席に立つのだろう 私が見たのは、ホームレスへの出勤途中 ホーム留守中の広島太郎だったのかもしれない |
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