67号 2013秋号の詩

  1. 旅化粧
  2. 最優秀化粧賞
  3. まばたきワープ
  4. デリート社員
  5. 電波中年
  6. 不登校児の親失格
作:イオン
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旅化粧

一人旅は
化粧をして理想の自分になれる

いや一人旅は
化粧を落とした素の自分になれる

いやいや、一人旅は
化粧を探して新たな自分になれる



|タイトル|

最優秀化粧賞

「最優秀化粧賞受賞
 おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「この素晴らしい化粧に秘められた
 素顔が気になりますね」
「恥ずかしくて、お見せできません」
「そんな、そんな
 素顔を越えた、素顔を描けたからこそ
 受賞されたのではないですか?」
「はい、ありがとうございます」

「もう化粧も芸術の領域ですよね
 これからの、化粧活動はどのように?」
「はい、これからは
 ボディ化粧に取り組もうかと」
「ボディを彩ることで
 美を極めようということですね?」
「いえ、未熟者ですから
 心を極めたいなと
 化粧は美しくなりたいという
 心を磨く手段と考えています」
「なるほど
 美しくなるには、化粧だけでは
 限界があるということですね
 美しい方にそう言われると
 説得力があります
 おめでとうございました」



|タイトル|

まばたきワープ

起きれない朝
布団の中で
ゆっくり七回
まばたきをすると
起きなくても
一週間が過ぎていく

そんな訳ないか
いや、そんなこともあると
ゆっくり七回
まばたきをしてみる

まだもうちょっと
余裕があるかな



|タイトル|

デリート社員

デリート社員「今日で退職します
       いろいろお世話になりました」
エリート社員「いや、こちらこそ
       これから、いかがなされるんですか?」
デリート社員「はい、ちょっと旅に出ます
       削除される人間として
       私の中から、みなさんを削除したいのです」
エリート社員「お気持ちは解ります、淋しいことですねぇ」
デリート社員「はい、あなたも
       私をきれいに削除してくださいね」
エリート社員「いえ、そんなぁ
       あなたのことは忘れはしませんよ
       また、一杯やりましょうよ」
デリート社員「最後のウソも削除させていただきます
       それでは、お元気で」



|タイトル|

電波中年

すごいだろう
このカーナビゲーション
もうすぐ、おじさんの家に着くからね
ラジオのチャンネルは
このままでいいのかな?
あぁ、家でもテレビはつけっぱなしさ
もちろんBSもCSもあるよ
あぁ、電話しておこう
携帯電話で、家のエアコンも入るんだ
何が食べたい?
電子レンジは3台あるからね

おじさん、すごい

すごいのはおじさんじゃない
電波がすごいんだ

うん、あたし電波と結婚する



|タイトル|

不登校児の親失格

神様
お願いです

私も親に心配をかけましたが
なんとか
どん底から立ち直れました

だから
そんな苦労を味わせたくないと
子どもを叱りましたが
それも原因の一つだと言って
子どもが不登校児になりました

子どもを学校に
通えないように育てた私は
親失格です

子どもに普通の
人生を押しつけた私は
親失格です

子どもを信じて手を出さずに
待ち続けることもできませんでした
不登校児の親としても
失格なのです

辛い目にあう子どもは
辛い目にあった親を頼って
生まれてくるとも聞きました

子どもは自分を育ててくれる親を
選んで生まれてくる
それを信じてあげられない私は
不登校児の親失格です

だから登校させてください

|タイトル|

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