「先生、息子に殴られました
突然、不良少年になってしまって、助けてください」
「そうですか、何か変化点があったはずですが?」
「心当たりがありません」
「そうですか、だったら、なぜなぜ分析をしてみましょう
英語でファイブホワイという手法で、なぜを五回繰り返すのです」
「はぁ、はい」
「それでは、なぜ、暴力をしたのでしょうか?
「それは、私にムカついたからでしょう」
「いいえ、暴力で状況が変えられると思ったからですね
息子さんを殴ったことはありますか?」
「はい、何度かあります」
「それでは、なぜ、暴力で状況を変えたいのでしょうか?
「それは、私に勝てば思い通りにできると思ったからでしょう」
「いいえ、あなたの暴力で息子さんが変えられたからです」
「わたしの暴力で?」
「そうです、暴力で人を変えることができると解ったのです」
「それでは、なぜ、あなたを変えようと思ったのでしょうか?」
「それは、勉強しろと言わなくするため、ですよね」
「そうです、しかし言って欲しくない理由があるからです」
「理由ですか?」
「はい、勉強する意味を無くした恐れがあります」
「それでは、なぜ、勉強する意味を無くしたのでしょうか?」
「それは、いま、遊びたいからですよね」
「いいえ、自分の将来に関心がなくなったからです」
「はぁ、そうですか」
「最後、五回目です
なぜ、自分の将来に関心がなくなったのでしょうか?」
「えーと、それは、世の中を知らないからです」
「いいえ、今、自分の居場所がないからです
だから将来の居場所も想像できないのではないでしょうか
まずは、居場所を作ってあげましょうよ」
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