45号 2008春号の詩

  1. Co2のうた
  2. 金八エイジ
  3. せいかも主義
  4. 五月病解禁
  5. 東北、ここには自然があります
  6. 進化主義共和国
作:イオン
Back to 季刊詩集


Co2のうた

人気歌手が
地球温暖化を防ごうと
歌う声からCO2が出る

歌を聴いて熱狂すれば
より多くのCO2が出る

それをテレビで放送すれば
電気供給のため
かなり多くのCO2が出る

それを繰り返せば
みんなCO2中毒になって
人間は熱狂したまま
幸せなまま死んでいき
CO2排出が減り
地球のバランスが取れる

地球が狙っているのは
地球を何度も爆破できる人間を
そういう形で
葬れないかということだ



|タイトル|

金八エイジ

年代的には金八エイジ
テレビドラマの再放送から
卒業できない

音楽的にはピンクレディーエイジ
音を目で聴かないと
理解できない

文学的にはワープロエイジ
筆圧のない文章で
お手軽に作家志望

科学的にはドラえもんエイジ
夢は叶えるものではなく
夢はねだるもの

医学的にはノストラダムスエイジ
無知能力が
予知能力にあこがれる

社会的にはバブル入社エイジ
金曜八時はいつも
サービス残業中



|タイトル|

せいかも主義

「課長、そういうことで
 この問題は、山田主任のせいかもしれません」
「もう、わかったよ
 なんなんだよ、いったい
 この”せいかも主義”って
 人のせいにばっかりして気分悪い」
「課長、そう言われても
 社長のトップダウン指示じゃないですか
 私たちは言い訳をするのも仕事なんです」
「あぁ、成果が出ない場合は
 あいつのせいかもって言い合って
 責任を明確にしろって言われてもなぁ
 後ろ向きの経営だろうが」
「そうでしょうか
 社長は、せいかも主義は
 成果主義の次に来る主義だって
 言ってたじゃないですか
 先を急ぐ時代に
 先頭に立って輝けないのなら
 立ち止って深堀をして
 組織を磨いて輝こうって 」
「それは、待ちの経営だろうが
 プロセスを大切にする時代は
 とっくに終わってるんだけどなぁ
 深堀ばかりで
 仕事が先に進まないじゃないか」
「課長、それじゃ
 それは誰のせいですか?」
「それは、しゃちょ、いや、その」
「課長、責任を明確にしてくださいよ」



|タイトル|

五月病解禁

さあ、五月に入り
五月病が解禁となりました
ひと夏に向かって
魂を開放しましょう



|タイトル|

東北、ここには自然があります

「ここには自然がありますねぇ」と
テレビレポーターのお姉さんが微笑む

ということは、なんだぁ
ニッポンの他んどごはぁ
不自然がいっぱいあるっつうことがぁ
こごさいんのが一番なのがなぁ




|タイトル|

進化主義共和国

進化主義共和国
日本を歩き進むには
進化した目が必要
溢れるメディアから
思考を集中できる視力
近視こそ進化した目である

進化主義共和国
日本で生きていくには
進化した肉体が必要
美食とレトルトに囲まれながらも
食料輸入に頼る現実を見据え
高カロリーを温存できる体
肥満こそ進化した肉体である

進化主義共和国
日本で死ぬときは
進化した死に方が必要
自分の死期を予測し
準備ができる病気
ガンこそ進化した病気である

進化主義共和国
日本に生まれたことで
私の遺伝子は
進化するのだろうか
退化するのだろうか




|タイトル|

Back to 季刊詩集


Back to MainPage