47号 2008秋号の詩

  1. 口先女
  2. 裸のお兄様
  3. 人生同一生障害
  4. 不燃ゴミ無念ゴミ
  5. 職業ダイエット
  6. サンキュッパ
作:イオン
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口先女

子供の頃は
口裂け女が怖かった
女がマスクを外して
私ってキレイ?
と聞いてきたら
うんと答えるんだ
そうしないと
顔を切りつけられる

大人になったら
口先女が怖くなった
女が手でマスクして
私って間違っている?
と聞いてきたら
いいえと答えるんだ
そうしないと
心を切りつけられる


|タイトル|

裸のお兄様

友達を無くすよりも
お金を無くすほうが怖いなんて
お兄様ごもっともでございます

食べ物が無くなるよりも
テレビが無くなるほうが怖いなんて
お兄様ごもっともでございます

やりがいを無くすよりも
プライドを無くすほうが怖いなんて
お兄様ごもっともでございます

地球が亡くなるよりも
自分が亡くなるほうが怖いなんて
お兄様ごもっともでございます




|タイトル|

人生同一生障害

「先生、男に生まれたけど心は女という
 性同一性障害というのがありますよね
 ワタシは、日本人に生まれましたが
 たぶん、心はフランス人なんです
 フランス人として生きては
 いけないのでしょうか?」
「それは人生同一生障害です
 フランスに行けば悩まなくて済みます」

「先生、ワタシも東北人に生まれましたが
 たぶん、心は関西人なんです
 関西人として生きては
 いかんでしょうか?」
「アナタは関西弁で
 生活すればいいと思いますよ」

「先生、ワタシは凡才に生まれましたが
 気持ちは天才なんです
 天才として生きては
 いけないでしょうか?」
「いけません
 本物の天才は自分を凡才だと思っています」

「先生、ワタシも地球人に生まれましたが
 きっと宇宙人なんです
 宇宙人として生きては
 いけないのでしょうか?」
「いけません
 宇宙人らしかならぬ発言です」



|タイトル|

無念ゴミ

ゴミがあった机の上は
ゴミ箱よりもゴミが多かった

ゴミ扱いされるより
ゴミ扱いする奴がゴミだった

淋しくて飛び出した都会は
田舎よりも淋しかった

叶わなかった夢は
叶わなかったほうが良かった



|タイトル|

職業ダイエット

自分の好きな仕事をすると
食べることも楽しくて太ります

自分の嫌いな仕事をすると
食べることしか楽みが無くて太ります

誰かの笑顔のために仕事をすると
それだけで満腹
適当にダイエットになります



|タイトル|

サンキュッパ

この製品でサンキュッパ
感謝をしたいサンキューと
この内容でサンキュッパ
家計が助かるサンキューと

だけど給与もサンキュッパ
ギリギリだけにノーサンキュー

経営幹部が言うことは
働けるだけ感謝しろ!
そう言うのなら我々の
低賃金に感謝しろ!

こんな仕事でサンキュッパ
だから物価もサンキュッパ
会社倒れてサンキュッパ
税金収入サンキュッパ
だから増税ノーサンキュー

国の幹部が言うことは
国家あっての個人主義!
そう言うのなら我々に
希望を与えてこそ国家!

サンキュッパを担っても
安く売ってる気はしない
だから今日もやり遂げた
自分自身にサンキューを




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