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日陰社会の片隅で 一人ぼっちでブログ書き ある日突然有名に 一躍時の人となる 顔と名前が知れ渡り 出かける度に指差され 握手とサイン攻めに遭う いろいろ過去を探られて 追いかけられているうちに 出かけず人にも会わないで 何も発言しないのが 一番いいと理解する 結局日向に出てみても 一人ぼっちに戻るだけ ひなたぼっちにたどり着く かえって周囲が沸いため 化学変化が後を引く インターネットで自己発信 できる時代になったけど あまり上手に書き込むと ひなたぼっちになることを かなりの人が解ってる だから悪気はないけれど 気楽に徹して書き投げる 読んで本気で怒るのは ひなたぼっちを避けている 人に対して失礼だ |
ずいぶんなことで 失ったものは ずいぶんなことで 補給しないと 治るまで ずいぶんかかる |
こちらの銀行ではダイエット商品の販売を 始めたとのことですが？ はい、ダイエットに失敗続きの方々へ 今までとはまったく違う商品 「お財布ダイエット」をつくりました いったい、どういうものなのですか？ はい、お手持ちの預金通帳、カード類、現金を 当行の貸し金庫ですべて預からせて頂きます つまり、お財布をカラにして出金を凍結します そして食事は、銀行が手配した宅配便以外は 食べられないようにさせて頂きます それから、定期的に指定の医療機関へ 体重測定とカウンセリングに来て頂きます 目標体重に達成したら出金凍結を解除します なるほど お財布がカラになれば お腹もカラになるという発想ですね でもお財布がカラだと 生活必需品の購入はどうするのですか？ はい、食品以外の購入のみできる この専用クレジットカードを使って頂きます レジのバーコードで食品が含まれていると 精算手続きができない仕組みです それは、すごいですね でも誰かに食事をごちそうになったら ダイエットになりませんよね？ はい、それは定期的な体重測定で 減少傾向に異常が出ますので 宅配便の内容を調整します なるほど 地元の医療と企業の連携を活かした 地元の銀行ならではの商品ですね これは、期待できます |
私の人生自画ずさん 稚拙な絵だと言われても これまで死なずに生きて来た だから密かに自画自賛 |
やはり 良くなると期待しても 期待どおりには良くならない だから 悪くなると期待すれば 期待どおりほど悪くはならない つまり 後ろ向きの考えというのは 実は密かに前向きを願っている しかし 期待どおりにならないという 密かな前向きの願い自体が 期待どおりにならないので 結果として 悪くなると期待すれば 悪くしかならないのである |
事故が報じられたのは 2007年3月13日の夜 高知空港で前輪が出ない飛行機が 胴体着陸をしたのだ 翌日私は出張で乗る同型の ボンバルディア旅客機であった ボンバルディアは 頻繁にトラブルを発生しているらしい しかも、事故原因不明のまま 車輪が出るかどうかの動作点検のみで 明日の朝から運航を再開するという 私は危険を感じて 新幹線に切り替ようと調べ始めたが ふと、ボンバルディアに乗ることで 自殺ができることに気がついた 誰にも気付かれない自殺である 毎日夜中まで働いても 大した成果もでていない 人間関係にも疲れており 本当に自分はこれから先も 生きる意味がある人間なのかどうか ボンバルディアに乗ることで 確かめることができるかもしれない 翌朝、浅い眠りから抜け出た時 私はボンバルディアに乗ることを決意した 不安と緊張を握りしめながら空港に入る 搭乗手続きでは昨日の事故説明はない まだ、原因は不明なのだろうか 普段通りの変わらないスタッフの笑顔が かえって怖い 手続き後に振り返ると テレビカメラが 私の前に搭乗手続きをした人へ インタビューをしている 「今、どんなお気持ちですか？」 落ちるかもしれない飛行機に乗る変り者と 画面の向こうで指を差さされることだろう いや、死ぬ前に 世間に言っておきたいことがあると 一瞬思ったが恥の上塗りになるだけだと 撮影隊を横目にラウンジへ駆け上がる 搭乗口でも混乱はなく 普段通りの案内が行われて ボンバルディアは飛び立った 「点検直後だからいまが一番安全だよ」 そんな会話を遮るように 蛍の光りのメロディが心の中で流れ出す あぁ、人間を卒業する時も やはりこのメロディなのか 水平飛行に移ってから初めて パイロットから昨日の事故の説明があった 「当機は事故機と同型ですが 点検を終えており安全です」と言い切った しかし、やはり原因の説明はない 座席が死刑執行の電気椅子にも思えてくる キャビンアテンダントの笑顔に 自分の人生を振り返る あのような輝きとは縁遠い人生だったけど それなりに楽しいこともあったかなぁ 悔いはあるが、それは 歴史に名を刻めなかったことぐらいか いや、これから起きる飛行機事故で 歴史に名を刻めるじゃないか だが、何事も無く ボンバルディアは着陸し 自殺は未遂に終わった 恐怖からの緊張が解けて目頭が熱くなり 蛍の光りのメロディが鳴り止んだ 私にはまだ、生き続ける意味があるのだ これからも 自分の存在に疑いを持った時は この飛行機に乗ることにしよう 私の生きる意味確認装置 ボンバルディア |
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