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「ねぇ、ウインクしてみて」 と言われて どちらが利き目だか迷った 迷うようなウインクに どれだけの効き目があるのかな とボクが言ったら 「迷うようなところがいいのよ」 と彼女は右目でウインクした |
タイムマシンができるまで 「起こった事はすべて良し」 という言葉で前進するしかない 現代科学でも この言葉以上に 解決策が生み出せないのだから |
地球はいくつ？ 宇宙はいくつ？ 太陽はいくつ？ 東京はいくつ？ 僕はいくつ？ みんなひとつしかないと思いますか？ あなたがこの世から なくなったときに あなたの地球はなくなるのです ひとつの地球が消滅するのです さて、 いくつあるか解りましたか？ |
バスの発車を待っていた 始発バスの停留場 サングラスに青い服 女がバスに乗り込んで 一番後ろの席に行き ゴソゴソしたあと駆け足で バスを飛び降り消えてった 走り始めたバスの中 もしかしたら爆弾が しかけられたのかもしれない 突然襲う恐怖感 女は日常爆華子 爆破はいつだあと何秒 楽しかったか人生は 苦しかったか人生は 死の直前でこんなにも バクバクするほど生きている 実感味わっちゃうなんて だったら次の停留所 降りてしまえば済むはずだ だけど降りる気がしない どこかで突然終わること それをどこかで望みつつ 生きてた自分を殺したい だからこのまま爆華子 お前の胸に抱かれよう 静かに目を閉じ時を待つ 繰り返される発停車 闇の中でグラグラと 大きく揺れて気がつくと どうやら居眠りこいていた 日常バクバク爆華子 平和にボケているんだな そんな自分が情けなく 怒りが小さく爆発した 日常バクバク爆華子 しかけていたのは僕の席 |
政府は自殺者撲滅のため 自殺の場合は死亡届けではなく 生涯終了届けも提出するという 法案構想を発表いたしました 自殺者は生きることを終了しただけで この世での存在は失われていない 生きる事を終了せざるを得ない事態から 回避させる有効な対策であると 総理自ら官邸で説明を行いました 届けは自殺者が６０歳に当たる年に 死亡届けに置き換わる制度で それまでの間は死亡とみなされず 誰かが公的年金と見なし所得税金を 払い続けなければいけないというものです これは自殺者か遺族が指定した者 つまり自殺の原因を作ったと 指名された者が反論の余地なく 絶対の支払い義務を負うもので 死へと追いつめる行為を防ぎ 自殺を撲滅させようというものです 自殺の原因については 処罰するには特定が困難なため 賠償が困難でしたが 遺族としては賠償よりも 再発防止の声が大きく 法案作成となったようです この動きに早速、生命保険業界は 支払い義務を補填する 保険商品を打ち出していますが それでは、個人が税金を背負わず 法案が骨抜きになってしまう恐れがあります これに対し政府は ビジネスがすべてに優先される現代社会 それこそが、自殺者を増加させていると 保険業界を非難していますが 有識者は、一方的な納税義務は 税金滞納を招き、それを律するために 更に税金を投じる必要がある 今の国家に、税金より命が大切だと 言い切れる根拠を感じない いずれ保険が黙認されるだろうと見ており 政府の動向が注目されます |
瀬戸大橋が見渡せる 四国の峠で逢ったのは 三十手前の細面 デジタルお遍路モモコさん 迷い道 地図を広げていたボクに 道を訪ねてきた彼女 突然胸元差し込んだ 赤い電話が鳴り出して 画面に子どもが現れた ママママキヨクンダイジョウブ 母と息子のやり取りに 事情を少し伺うと 彼女は手首を差し出して リストカットの跡示す 子どもは育っていくけれど 自分は育っていかなくて 母になるのは女だけ？ 男が母でもいいじゃない ダンナに当たって細い腕 何度も何度も傷つけた 耐え切れず 子どもを置いて昼下がり 遍路の道に飛び出した それなのに 空海と二人で歩くお遍路を 電話で邪魔して欲しいのよ 浮気相手は空海よ 私は汚れず帰れるの そう言って 白装束の胸元に 赤い電話を差し戻し 名刺代わりと名の書いた 奉納札を頂いた 立ち直る 立ちふさがるのもお遍路と 赤い電話を見送った |
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