25号 2003春号の詩

  1. 紙でできている
  2. 昼下がり
  3. 男の新製品
  4. 地球電波防御作戦
  5. ミミズの次郎長
  6. 単身不妊
作:イオン

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紙でできている

紙で男女が知り合って
紙に写った思い出を
紙に綴って交換し
紙で思いを伝えあい
紙への記載で結ばれる
紙で住まいを探し出し
紙へ幸せ記すうち
紙で受胎を示される
紙の暦で出産後
紙で生まれを証明し
紙で払った食事させ
紙でおしりを拭きあげる

紙でその子は文字を知り
紙の通知で通学し
紙の上で学びゆく
紙の記事にときめいて
紙に将来描きだす

紙で資格を許可されて
紙を介して就職し
紙で仕事を示される
紙の名前を差し出して
紙で結果を報告し
紙で稼ぎを渡される

紙の景色にあこがれて
紙で情報収集し
紙の地図で飛び回る
紙で渡したアドレスが
紙に思いを募らせて
紙の切符で待ち合わす

紙で恋を打ち明けて
紙で愛へと育んで
紙で善き日に結ばれる
紙の記載で名を合わせ
紙に写った胎児見て
紙の知識で命抱く

紙で名前を考案し
紙で生まれを届け出て
紙に写した子添えて
紙でみんなに親宣言

私は紙でできている
君も紙でできている


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昼下がり

昼下がり
太陽が笑うだけの街
車のリズムと
人々が影を連れて歩いていく

呼吸は乱れず
謀反もなく
只、毎日
同じ風が吹くようにと
願う人々の背中を
今日も太陽が
斜めに光を与える

今日も太陽が
斜めに光を与える






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男の新製品

レンズ付き男
百円男
週刊男
通勤快足男
形態安定男

「店長、どうですか? この新製品」
「んー、女は買ってくれないなぁ」

使い捨て男
リサイクル男
詰め替え用男
平日半額男
セルフサービス男

「店長、これだったらどうでしょう?」
「んー、これでは男が買ってくれないなぁ」




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地球電波防御作戦

「隊長、地球に近づきました」
「うん、なかなか美しい星だな
 征服しがいがある」

「隊長、地球が電波で覆われています
 この円盤で着陸するのはちょっと難しいです」
「電波だって、100年前出発したときには
 地球の表面は水と空気だけだと聞いていたが
 たた100年の間に地球を電波で覆ってしまうとは
 人間という地球生物はたいしたものだ
 ますます、征服しがいがある」

「でも、隊長、着陸できなければ
 調査もできないじゃないですか」
「まぁ、まて
 電波を受信するんだ
 そうすれば、わざわざ着陸しなくても
 地球の実態が調査できる」
「さすが隊長、チャンネルセットOK
 受信しました」
「よし、どれどれ
 なんだ、このくだらないテレビ番組は
 こいつらが地球を支配しているのなら
 話しにならん
 無理して着陸する必要はない
 引き上げるぞ」






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ミミズの次郎長

次郎長親分
どうやらあっしらだけのようですぜ
地球をきれいにできる生き物は

おい、人間はどうした
人間も掃除ができるはずじゃねぇか

親分、とんでもねぇ
今、地球を一番汚しているのは
人間なんでずぜぇ

なに、それは許せねぇ
おい、旅の準備だ




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単身不妊

ひとりでは
何も宿らない






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