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ただ太っている訳じゃない 自分の中から 何か生まれて来るのを待って いつも妊娠三ヶ月 ただ太っている訳じゃない 生まれるはずのない 希望を暖めて いつも妊娠三ヶ月 |
この瞬間 この一口がブタになる この一口がブタミン剤 その瞬間 その一秒でブタ同然 その一秒がブタミン剤 あの瞬間 あの一言でブタ扱い あの一言がブタミン剤 |
「僕は今日から 株式会社になったんだ はい、これ 今日のデート代の請求書」 「あら、それじゃ 私は、今日から銀行よ 愛の貸し出し分 来週、利子を払ってね」 |
中身が無いから、あきかん 飲むのに飽きたから、あきかん 飲むのを諦めたから、あきかん あきかんはリサイクルできます クズカゴに捨てましょう 中身が無いから、あきにん 話すのに飽きたから、あきにん 話すのを諦めたから、あきにん あきにんはリサイクルできません そっとしておきましょう |
私の心がエクセルで 串刺し計算されていく あなたの心はＰＤＦ 変えることさえままならない アクロバットなこの気持ち ワードで綴る感情は オートコレクトされていく あなたに見せるプレゼンは クイックタイムなアクセスで パワーポイント射止めてく 心の壁紙設定は もちろんあなたのＪＰＥＧで ＭＰＥＧ動画で打ち合わせ 今日の私を圧縮し メールソフトに添付して あなたの心に送付する ウィルスソフトをくぐり抜け きっと今夜は眠れない |
焼き鳥屋の片隅で飲んでいて 連れがトイレに行ったら 隣の席の話が耳に入って来た 「テレビでやるような格好いい仕事 オレ達にある訳ねぇべ」 「そうだよなぁ Ｘはつかめねぇ Ｙにも気がつかねぇ すでに終わっているＺばっかりだぁ」 「結果オーライだがらぁ 番組になんだべぇ 初めっからオーライの仕事しか来ないもの」 突然、青年が手羽先を掲げて叫んだ 「先輩！ そんなんでいいんですか！ オレは、羽ばたきたいっすよ」 先輩たちが、手羽先を降ろさせた 「おー新人、ガンバレ、ガンバレ」 「そうだ、新人の時は 毎日がＸだがんなぁ」 「おぃ、新人は、まだ飛べない鳥だ 大空を見て飛ぼうとその場を動かない オレだぢは飛ばない鳥だげんど 地面を見て前へ進んでんだぞ」 青年は納得して 注いでもらったビールを飲み干した 私は戻って来た連れに言った 「他の店で飲みなおそうか」 今聞いた話を肴にしたいし これ以上は、隣の席は荒れそうで 傍観者でいられなくなる |
