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いつのまに できたのかしら このホクロ ピリオドかしら ドットかな あなたに恋して 気がついた |
そうさ 死んだふりができるのは 生きているうちだけ 死んだらできないんだ そして 生きているふりができるのも 生きているうちだけ 死んだらできないんだ つまり ふりでもいいから 死んだらできないことをするのが 生きるってことなんだ |
奇跡、子供を欲しがる相手が あらわれるなんて思ってなかった 何度も恋を失ってきたから 奇跡、子供が生まれる時まで 生き延びるなんて思ってなかった 何度も存在を否定されてきたから 奇跡、子供を育てるだけのお金を 稼げるなんて思ってなかった 何度も対立してきたから 喜劇、食べるためだけに 生きていた自分が 生きるため食べる子供に 目を細めている 喜劇、明日なんて信じないと 言っていた自分が 子供の行事を最優先している 感激、今のこの子の笑顔は、 見苦しくても、生き残ってきた 私を誉め称えている |
「おい、佐藤くん どうして、この大事な書類が 隣の山田部長のところにあったんだ 説明してみなさい」 「いえ、私が持っていった訳ではありません」 「じゃぁ、なにかい この書類がひとりでに 歩いて行ったとでもいうのかい？」 「んー、そうですね 最近は、そういうこともありえますね ちょといいですか部長 あぁ、やっぱり この書類の裏側にホラ」 「なんだ、この黒い小さなテープは」 「これは、マイクロモーターですね これを紙に貼って床に置くと ほら、こうして、紙が歩き出すんですよ」 「あっ、ホントだ、歩いている なんか、ホント、嫌な時代になったなぁ」 |
毎日配布しています 私という名のソフトウェア 接してくれた人々の 記憶メディアに入り込み 世界中に散らばって 時々勝手に起動する 汗ばむ額の内側や 凍える頬のその奥で ふとした時を見計らい 「どうしているか？」と起動する 毎日開発しています 私という名のソフトウェア 過ぎ去った 日々のバージョン回収し バグを除いてあげたいが 噂の様にコピーされ 改造されたものもあり 見つけたときの対応で 仕方ないと思ってる でもそんな バグがあるから可愛いと 気にしてくれる人もいる 毎朝更新しています 私という名のソフトウェア バグを抱えて今朝もまた 布団の中で起動して 洗面台でベリファイし シャツを羽織って世の中に アップロードを開始する |
「先生、あたしもうボロボロです あんな電子メールさえこなければ…」 「コンピューターウイルスで一番怖いのは 電子メール本文が人間自体を壊す 精神的なウイルスです エイズの爆発的伝染のように 人間の倫理観を揺さぶるもので 精神を病んで死に至ることもあります」 「先生、あたし、治るんでしょうか？」 「このワクチンを使いましょう 電子メールを受け取るコンピューターに ウイルス対策をするのは当たり前ですが これからは、受け取る人間にも ウイルス対策が必要なんです これを飲めば、表情のない言葉や 作り事が気にならなくなり あなた自身の破壊を防ぎます」 「先生、それ、苦いんですか？」 「大丈夫、アップル味です」 |
