17号 2001春号の詩

  1. 開封後要暖房
  2. 燃えないゴミの日
  3. 中傷企業
  4. 手酌クラブ
  5. ロックンロールレジ兄ちゃん
  6. 廃車でGO!
作:イオン
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開封後要暖房

私の心を開けたら
ずっと暖めてくれますか?





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燃えないゴミの日

朝、家内が叫んだ
「今日は燃えないゴミの日よ!」
あっ、私の日だ

仕事に燃えないゴミが
家庭で燃えないゴミを片手に
家を出る





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中傷企業

採用担当の小林です
当社は中傷企業ですが
die企業以上に
闘いがいのある会社です
不条理のデパートとも言われており
人間成長ができる企業であると
業界の注目を集めています

すいません、この資料には
待遇がきちんと書いてありますが?

はい、そのギャップと
闘っていただきたいということです

そうですか
採用担当の方が
本当の事を説明してくれるなんて感激です
ぜひとも御社で
会社への不満をバネに
人間として成長したいです

頼もしいですね
あなたが、成長すると
他の会社に移ってしまう
侵入社員ではないことを期待して
前向きに検討しましょう



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手酌クラブ

義理でギリギリ逃げ切れず
泡の立たないビール舐め
注いだ上司がほろ苦い

可愛いあの子の席遠し
しかもウーロンその気なし
注いだ視線がほろ苦い

そんな時にはさえぎって
手酌クラブを宣言し
自分のペースですすめよう
今日より明日の日もあるさ




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ロックンロールレジ兄ちゃん

「いらっしゃいませこんにちは」
彩る髪を振り乱し
ガチャガチャ踊る腕先で
華麗に商品さばいてく
ロックンロールレジ兄ちゃん

店内流れる音楽を
左右の肩でビート切り
ポスのピッポを打ち込んで
レジのシンバル打ちならす
ロックンロールレジ兄ちゃん

「お釣りをごまかし生きるのは
 ロックンロールと言わないす」
店長相手にムッとして
うつむきがちにポスを打つ
曇った横顔惹かれるの
ロックンロールレジ兄ちゃん

「あの、あたし
 昨日のライブ見てました」
手をとめてあたしをちょっと見つめると
軽くうなずきしゃがみ込み
袋にしのばすおまけ品
ロックンロールレジ兄ちゃん

「また来てね
 店にもレジにもライブにも」
うなずいたあたしの熱さで暖めて
ロックのタマゴをかえしたい
大きな翼をはばたいて
あたしの鳥かご壊してね
ロックンロールレジ兄ちゃん



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廃車でGO!

近所のゲームセンターで
電車でGO!をしていると
画面の中の踏み切りに
ランドセルの少年が
一人ポツンと立っていた
あれは、昔のボクみたい

 十歳の
 ボクの愛車は踏み切りの
 そばにたたずむ紺色で
 廃車になったニッサンの
 ブルーバード410
 
 学校帰りの道すがら
 ベコベコバキーンのドアを開け
 ガザガザハンドル握りしめ
 グラグラレバーを操って
 届かぬ足で空を蹴り
 心のアクセルを踏みしめる
 青い鳥を探しての
 一人きりの、廃車でGO!

停車位置を間違えて
急ブレーキを効かせると
「電車は急に止まれません」
冷たいゲームのアナウンス
ボクもどこかで停車位置
間違えていたかもしれない
青い鳥は、いまだなお
見つからないまま三十代



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