16号 2001冬号の詩

  1. 今日−自分<明日
  2. テレビンボウ
  3. エジソン無罪判決
  4. 現在、過去、めまい
  5. 2001年夢中の旅
  6. 世紀末試験
作:イオン
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今日−自分<明日

満たされないから
明日というプラスに
引き寄せられるのだ

自分にマイナスがないと
明日に魅力を感じない





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テレビンボウ

テレビにビデオがついて
テレビデオ

テレビにびんぼうな私がついて
テレビンボウ

一日が電気代で過ぎて行く







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エジソン無罪判決

「判決を言い渡す
 トーマス・エジソン氏を無罪とする

 先の少年事件の真犯人は
 テレビ、パソコン
 昼夜を問わない交遊など
 自分の楽しみを優先した保護者の
 愛情不足であり
 突き詰めれば
 電灯、映写機を発明して
 保護者に愛情を注ぐ機会を喪失させた
 トーマス・エジソン氏が
 真犯人であるとの主張であるが…」

「裁判長!
 わかりました、先を急ぎましょう
 次ぎは、電話を発明した
 グラハム・ベルです」




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現在、過去、めまい

先生、たった今、人間は
過去、現在、未来のうち
どこにいるんですか?

なになに、難しい質問だなぁ

先生、たった今
話した瞬間が過去になるし
話そうとしていることは未来だし
なんか、考えるとめまいがするんですが

そうか、保健室はあっちだ
いいか、太陽の光は
8分前に太陽から出た光だ
つまり、過去の光で
現在を見ていることになる
しかも現在を認識できるのは
過去の積み重ねがあるからだ

先生、気持ち悪くなってきました

保健室に行くのは未来だ
保健室まで行けるのは過去の記憶だ
めまいで倒れたところが
たった今かもしれないな

バタン




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2001年夢中の旅

ボロアパートのブロック塀ぎわに
壮年の男が立ったのは
2001年1月11日午後1時11分
時折、この、二階の11号室を仰ぎ見る

僕は、わざと窓を開けて
タバコに火をつけた

僕が煙を吐き出したら
電信柱の向うから
同年代の女性が現れた

「久しぶりだね」
「本当に待っていたのね」
「約束の2001年だ」
「本当に、また、ここからはじめるの」
「そうだ、2001年夢中の旅の、始まりだ」

僕は、男のセリフで、吸い込んだ煙を
喉に停めてしまい、むせ込んだ

二人は、足早に、肩を並べて右角に消えた

僕は、タバコを消して
むせたからか、笑ったからか
感動したからか、よく解らない涙を
ぬぐった




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世紀末試験

問題1
1900年、世界の人口は16億5千万人だったが
2000年には、60億6千万人になった。
さて、百年の間に
何人死んでいったのかを答えよ。

問題2
1900年、日本女性の平均寿命は44.85才だったが、
2000年には、83.99才になった。
さて、百年の間に
日本人にどのような進化があったかを述べよ。

問題3
1900年、東京大阪間は急行で16時間19分だったが
2000年には、新幹線で2時間30分になった。
さて、百年の間に
何時間の得をしたのかを求めよ。

問題4
1900年、世界の石油消費量は5億トンだったが
2000年には、95.8億トンになった。
さて、百年の間に
地球がいくら軽くなったのかを求めよ。

問題5
1900年、東京の平均気温は、13.6℃だったが
2000年には、17.0度になった。
さて、百年の間に
人間の心の温度が変化した値を求めよ。


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