09号 1999春号の詩

  1. 地球が丸い理由
  2. 線路
  3. 心の洗濯
  4. 規則正しく夜遅く
  5. ミーム操作要領書
  6. 落花盛ん
作:イオン
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地球が丸い理由

僕は君から離れて
西へ西へと去っていく
君から西へと離れる程に
東へ東へと君に近づいている
僕にとってそのことが
地球が丸い理由なのだ




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線路

こんなに人通りがあるのに
誰もいない淋しい道






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心の洗濯

  ===========┌───V───┐=============
       └─┐  心┌─┘
         │   │
         └───┘









|タイトル|

規則正しく夜遅く

僕らの暮らしは
規則正しく夜遅く
僕らの進化は
規則正しく夜遅く

僕らは眠らない動物に
進化しようとしているんだ
規則正しく夜遅く
ここ数十年の大進化

規則正しく夜遅く
進化の途中は辛いもの
死んだら死ぬほど眠れるさ
そういいきかせて今日もまた
栄養ドリンクごっくんと
スタミナ買っては夜遅く
時代の時計のネジを巻く




|タイトル|

ミーム操作要領書

「明子、ついに手に入れたぞ」
「あなた、これは… ミームってなに?」
「ミームっていうのは
 人間文化を伝達する情報遺伝子のことさ
 吉田屋のまんじゅうが美味いという情報は
 代々伝達されてきたものだろう
 今、赤が流行しているのも、誰かから伝達されたもの」
「まさか、あなた、そのミームを操作して…」
「そうだよ、このミームの操作要領書さえあれば
 山田軒のラーメンが美味いという情報を
 人々に伝達することができるんだ
 お客が入ってくれるんだよ」
「あなた、いけないわ、何もそこまでしなくても」
「もう、資金繰りも厳しい、今月の支払いさえ…」
「あなた…、わかったわ、これで町中に
 うちのラーメンを食べることが、はやるのね」
「あぁ、きっと、町中の人が、殺到してくれるはずだ
 よし、さっそく、部屋にこもって操作してみるよ」

「いらっしゃい」
「ヤマダラーメン2つね」
「いらっしゃい」
「すいません、シオとミソラーメンください」
「いらっしゃい」
「こっち、塩バター3つください」
「いらっしゃい」
「いらっしゃい」
「いらっしゃい」
「いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい」
「いらっしゃい、いらっしゃい、うわぁー! 店が壊れるー!」



|タイトル|

落花盛ん

桜の花は散るのではない
地に降りて枝先までの
長い旅に出るのだ








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