「どうしーて日本人、あなたたちーは
　背中、まるめーて、いる、ありますか？」
「いや、その、畳に座っての生活だからかなぁ」
「タタミ？　知ってまーす、シックスタタミね」
「英語で畳み六畳のことですか？」
「イエス、そうでーす
　背中、まるめる、攻撃的姿勢あります
　ファーストな動き、できるありますよ」
「あぁ、スポーツ選手なんかそうですね」
「あなたたちー　ニッポン人は
　動き早い、秘密多い、いつも集団ね
　何考えている、わからない、あります」
「野望を持っているってことかなぁ」
「何ですか？　ヤボウ？」
「んん、何でもない、お坊さんのこと」
「オボウサン？　違いますネ
　今、あなた、ヤボウと言った
　ニッポン人、ホントウ言わないね」
「そうですね、ごめんなさい
　あっ、胸に隠したホントウが重いから
　日本人は背中が丸まっているのかも」
「どうして、隠す、しますか？」
「んー、そうですね、そうだ
　ホントウを隠して
　ミステリーを楽しんでいるんです」
「オー、ナイス！　そうでしたかぁ」

　　　　　　社　訓
一、我社は人々の注目を創造する
一、我社は人々の感情を刺激する
一、我社は人々の満足を追求する
一、我社は人々の自尊を援護する
一、我社は人々の至福を演出する
一、我社は人々の目立を製作する

「すばらしい社訓ですね」
「ありがとうございます」
「さっそくですが、目立たせて欲しいのは
　この女性です、私の彼女です」
「どのようにいたしますか？」
「女優へのスカウトでお願いします
　私は彼女に、スカウトされたという
　目立ちを与えたいんです」
「目的は？」
「待ち望んでいるチャンスを
　運命を与えてあげたいんです」
「それだけですか？」
「はい、まぁ」
「別れたいのですか？」
「いや、その逆です
　早く、夢から覚めて
　私との現実を見て欲しいのです」
「わかりました。それでは、一週間後に」

「すいませんね、自分じゃなくて
　人を目立たせるなんて、やっかいでしょう」
「はい、まぁ、でも、最近は多いですよ
　人間は、運命というものに弱いものです
　それが例え、誰かに作られたものだとしても」
「そうですか」
「あなたは、彼女と運命的な出会いをしてますね」
「あぁ、はい」
「それが、誰かからの依頼ではないと否定できますか？」

君が髪を少し変えた
でも気づかぬそぶり
よく見ている奴だと
職場で噂が立つから

君を街で見かける
でも気づかぬそぶり
君の自由を覗き込むと
僕の中で噂が立つから

君が後ろを歩いている
でも気づかぬそぶり
一緒に歩いたら
君の中で噂が立つから

*.you
あなたの気持ちになってみる

放課後の放送室
ＬＰレコードを棚から取り出す
プレーヤーのテーブルに置き
クリーナーでそっと撫でる

５時のチャイムがなる
アナウンス室の美紀子が笑う
レコードに針を落とす
「家路」が流れ出す

手を上げて３，２，１
美紀子にキューを出す
「５時になりました窓を閉めて
　下校してください」

ナインがマウンドに集まる
ブラバンの女の子が楽器を撫でる
母校の夕暮れは輝いていた

都会の片隅で終業時間のチャイムがなる
心の中で美紀子が告げる
「５時になりましたドアを開けて
　自分してください」

　…先進国首脳会議にて…
「このままでは、世界に平和は訪れない
　いつになったら、この地球が一つになるんだ」
「ミスターアメリカ？
　あのＵＦＯ計画はどうなったのだ
　宇宙人、地球外生命の侵略ということで
　ＵＦＯを開発し、各国の軍事を宇宙に向け
　地球を一つにする計画は…
　そのために、ハリウッドも協力するって
　言っていたじゃないか」
「それが、もう少し時間をくれ」
「いつまで待たせるんだ！
　もう、何十年も待っているうち
　第三次世界大戦が、瞬時に始まるような
　時代になってしまった
　もうタイムアウトだ」

「それじゃ、どうすればいいんだ！」
「……」
「もう、手はないのか！」

「…宇宙人がダメなら
　宇宙怪獣という手はどうだ？」
「怪獣だ？　ジョークか？
　我々の本当の相手は
　人間の疑い深い気持ち、猜疑心だぞ？
　ヌイグルミを軍隊が信じると思うのか？」
「いや、待ってくれ
　物が無い時代は
　宇宙人が地球を奪うという観点は正しかった
　物が溢れている
　環境問題が叫ばれている今は
　地球を壊すという観点のほうが効果があると思う
　我が国は、ヌイグルミの宇宙怪獣に賛成する」
「そうだ、そうだ
　軍事も大切だが、環境あっての平和だ」
「なるほど、そうか、どうだろう
　それならジャパンに任せたらどうだ？」
「オー、ジャパンのツブラヤだね
　グッドアィディア
　彼らの特撮技術なら、信頼できる
　ミスタージャパン、いかがかな？」